結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 冗談めかした口調なのに、有無を言わせない響きがあった。言葉通り、包囲されていくような感覚がして透子は言葉を失った。


 ここ最近のデートでは、迅は必ず透子をマンションの部屋まで送り届けてくれる。オートロックがあるから大丈夫だと言っても、心配だからと譲らず、いつもドアの前までついてくる。

 今日も、ふたりで軽く夕食を取ったあと、透子を助手席に乗せた迅は、マンションの脇に車を停めると、遠慮する透子に構うことなく、自らも車を降りた。

「疲れただろう」

「はい……ものすごく」

 自然に手を取られながら、透子はよたよたと彼と共にマンションの階段を上っていく。もう、取り繕う気にもならなかった。

(すごく疲れた……主に精神的に。どうしてこんな状況になってるの)

 静かな階段に響くふたり分の靴音を聞きながら、透子はこっそりため息をついた。

 結局、あの場で同居とパーティへの出席を了承させられた透子は、そのまま同じビルに入るショップに連れていかれた。そこは婚約指輪の憧れブランドとして名高い、高級ジュエリーブランドだった。