結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 不意に頬が熱くなった透子は、余計な思考を払い落とすように軽く頭を振りノートパソコンのロック画面を解除した。

 そろそろ香織のお見合いが終わる頃だ。今回のお相手は彼女よりふたつ年下の二十八歳で、大手メーカーでエンジニアをしている男性だった。

 業種は違うがメーカーに勤めている共通点や、お互いスポーツ観戦が好きで趣味も合いそうなこと、地元が近いこと。なにより、香織の明るく正直な性格と、年下の真面目で温厚そうな彼の相性はいいのではと直感したのだ。

 最初に条件に挙げてた年上でもないし、年収は少ない。それでも透子が勧めると香織は興味を持ち、お見合いを申し込んでくれた。すると、相手からもOKが入り、今日ホテルのロビーで会う運びとなっていたのだ。

 どうか、うまくいきますように。そう願いながら透子は仕事を再開した。


 午後三時前、午後休を取っていた透子はデートの待ち合わせ場所に向かっていた。

 表参道を歩く透子の足取りは軽い。

(よかった。香織さんのお見合いがうまくいって)

 あのあとしばらくして、香織から電話が入った。お相手との会話が弾みすぎて気づけば一時間半以上話していたらしい。