結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 慌てて車を駐車場に停め、カフェに向かう。透子の前に座っていたのは優しげな面差しの男だ。透子に向ける眼差しを見た瞬間、すぐに直感する。この男も透子に強い思いを寄せていると。

 焦りと嫉妬に駆られ、迅は少し平静を失っていた。

 わざと透子との交際を男に告げ、その場から彼女を強引に連れ出す。 常に冷静でいることを求められてきた自分が、あんな衝動的な行動を取るのは初めてだった。

 当然、透子は困惑し、反発した。


『仮交際中は、複数の相手と会うことが認められています。ルールですから、私が誰と会おうと、どれだけ親しくしようと、迅さんにとやかく言われる筋合いはありません』

(君が他の男に会ったり、親しくされたら、俺が困るに決まってるだろ)

 こちらの気も知らないでと、少し悔しくなった。

『なるほど、そうか。わかった。だったら、仮交際じゃなければいいんだな』

 迅は、その場で真剣交際への移行を告げる。透子がルールに捕らわれているなら、それを利用してやればいいのだ。