結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

『結婚相談所でこそ、いい出会いの可能性が広がるんですよ』

 それでも食い下がってきた透子を、正直しつこいと感じた。

『いい出会い? とてもそうは思えないな。条件を並びたてて選ぶなんて、効率的すぎて面白みがない』

 わざと不遜な態度取ったのは、お互い無意味な時間をさっさと終わらせたかったからだ。

『――効率的で何が悪いんですか』

 低い声に、いかに彼女が自分の仕事に誇りをもっているかを知る。そういう人間は嫌いではなない。しかし、迅もここ引き下がるわけにはいかなかった。

『その見極めっていうのが、ここでは味気ない情報と上っ面の会話だけだろう? それで人生を決めるなんて、ずいぶん安っぽい』

 迅はわざと透子を煽り、ここにふさわしくない人間だと分からせようとした。

 さすがに、ここまえ言えば、諦めるだろう。立ち去ろうとした迅の背中を彼女の凛とした声が追った。

『MSBの社長さんは、視野の狭い方だったんですね』

 そのまま無視して出ていけばよかったのに、つい振り返ってしまった。