結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

 誠実そうな笑顔と完璧な接客。彼女の印象は悪くなかった。しかし、はなから婚活をするつもりのない迅は、いきなり入会拒否を突きつけた。

『僕はここに入会しない。今日はそれを伝えにきただけです』

 そう言うと、彼女は美しい顔を引きつらせていた。

 このカウンセラーには申し訳ないが、悪い印象を与えてでもはっきり断るつもりだった。迅の言動が母に伝わるかもしれないが、呆れて諦めてくれるなら、むしろそれでよかった。

 母が純粋に自分を心配してこの結婚相談所で活動させようと思っているのはわかっている。だから、顔を立てて一度だけ足を運んだだけだ。

 いくらなんでも、毎週見合いを設定するのは現実的に不可能だ。今は臍を曲げているが、忙しさを理由に回避し続ければその内諦めるだろう。

 結婚自体、するつもりがないと告げると、透子はさらに困惑した。気持ちはわかる。ここは結婚したくない人間が足を向けていい場所じゃない。

『ですが、真壁様。実際活動されてみたらお気持ちが変わるかもしれないですよ』

 なんとか説得しようとしてきたが、迅はどれほど結婚する意志がないかを説いた。