あからさまに反対する人間はいなかったものの、若い経営者の手腕を不安視する役員は多かった。
そんな声を払拭するように、迅は持ち前の才能を発揮し、堅実に経営を引き継ぐだけでなく、アジア市場に向けた製品開発の強化など新たな戦略も次々と打ち出した。そして、その成果は着実に表れ始めている。
応接セットに座り、秘書が淹れたコーヒーを口にする。そろそろ副社長との打ち合わせのはずだ。タブレットでスケジュールを確認していると、軽くノックの音がした。秘書が静かにドアを開けると、長身の男が入ってきた。
「失礼します」
慣れた様子で迅の前に腰を下ろしたのは、真壁恭弥。三十一歳で、迅より二歳下の弟だ。
秘書は恭弥のコーヒーをガラステーブルの上に置くと、軽くお辞儀をして、静かに部屋から退出する。兄弟が会話するときの暗黙の了解だ。
「一部の役員が研究開発費の増額に反対してるんだって?」
恭弥は座るなり、口を開いた。
「短期利益しか見えてない連中だからな。MSBの価値は、積み上げてきた研究開発力にあると言っても過言じゃない。それを抑えてどうするんだ」
そんな声を払拭するように、迅は持ち前の才能を発揮し、堅実に経営を引き継ぐだけでなく、アジア市場に向けた製品開発の強化など新たな戦略も次々と打ち出した。そして、その成果は着実に表れ始めている。
応接セットに座り、秘書が淹れたコーヒーを口にする。そろそろ副社長との打ち合わせのはずだ。タブレットでスケジュールを確認していると、軽くノックの音がした。秘書が静かにドアを開けると、長身の男が入ってきた。
「失礼します」
慣れた様子で迅の前に腰を下ろしたのは、真壁恭弥。三十一歳で、迅より二歳下の弟だ。
秘書は恭弥のコーヒーをガラステーブルの上に置くと、軽くお辞儀をして、静かに部屋から退出する。兄弟が会話するときの暗黙の了解だ。
「一部の役員が研究開発費の増額に反対してるんだって?」
恭弥は座るなり、口を開いた。
「短期利益しか見えてない連中だからな。MSBの価値は、積み上げてきた研究開発力にあると言っても過言じゃない。それを抑えてどうするんだ」



