結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

(この先については、まだ一度も話していないけど、迅さんはどうするつもりなのかな)

 カップルによって違うが、一般的には仮交際二か月、デートの回数は六回から八回くらいで真剣交際にステップアップするパターンが多い。

 迅は時間稼ぎのために交際を引き伸ばしたいのか、それとも不自然でない程度に手順を踏んで早めにこの活動を終わらせたいのか、そろそろ確認した方がいいかもしれない。

(終わらせる……か、そうだよね)

 成婚退会すれば、透子の役目は終わる。破局という形で関係を終えたら、もう二度と会うこともないだろう。

 最初から決まっていた約束だ。けれど彼との別れを想像すると、胸の奥がわずかに軋む。

 〝交際相手〟の存在は、仕事ばかりだった透子の毎日を思いのほか張りのある時間に変えてくれたようだ。

 透子は手にしていたティーカップを静かにソーサーに戻す。

 迅は縁談から逃れるため、そして自分は仕事のためにこの交際を続けているに過ぎないのだ。そう言い聞かせた透子は気持ちを切り替えようとスマートフォンを開いた。

 SNSを眺めていると、MSBの広告が目に入り、思わずタップする。