結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました

「透子さん、この前はごめんなさい」

「香織さん、頭を上げてください」

 カウンセリングルームに案内した途端、勢いよく頭を下げた香織に、透子は慌てて近づく。

「婚活がうまくいかないのは自分のせいなのに、一生懸命考えてくれてる透子さんに無責任だなんて……最低だった」

 絞り出すような声に、肩がわずかに震えている。

「まずは、座りましょうか」

 透子は俯いたままの香織の背中にそっと手を添え、椅子へと促した。

 前回のカウンセリングから約二週間。あのあと、透子は香織にオンラインで連絡を取り、自分の対応の悪さを謝罪、そのあとも、彼女の負担にならない程度にオンラインでフォローをしていた。すると、今日面談希望の連絡が入った。

「あれからずっと考えてたの。私、今までいろんなハイスペ男性に声をかけられてきたから、婚活も楽勝だって、どこかで舐めてた」

 目の前に置かれた紅茶を見つめながら、香織はぽつりぽつりと語り出す。

 愛らしい容姿に加えてスタイルもいい彼女は、学生時代から多くの恋愛を経験してきた。社会人になってからは、医者や弁護士、大企業に勤めるエリートばかりと付き合った。