―――合宿が終わった数日後。
糸は結月に、響矢と付き合うことになったと真っ先に報告した。
「うわぁぁああん! ほんまによかったなぁ、糸ちゃん……っ! でもでも、私の可愛い糸ちゃんが、あんなアホ響矢に取られてまうなんて悔しいぃぃ~!!」
結月は目に大粒の涙を潤ませながら我がことのように大喜びし、糸の腰にしがみついてジタバタと喚いていた。
親友としての深い愛と、親戚としての複雑な敗北感が入り混じった、なんとも言えない全力の祝福があった。
その隣で、響矢は首の裏まで真っ赤に染め上げながら、所在なさげに頭を掻いていた。
「やめぇや結月、ほんま恥ずかしいわ……っ」
「何が恥ずかしいねん! 糸ちゃんを泣かせたら、私がいつでも竹刀持って成敗しに行ったるからな!」
苦笑いしながらツッコミを入れる響矢と、ぷんぷんと怒る結月。
その賑やかなやり取りを見つめながら、糸は胸の奥がぽかぽかと温かいぬくもりで満たされていくのを感じていた。



