「いやあ、宝井はすごいよなあ⋯⋯」
うわっ⋯⋯いつの間にいたんだろ、この人⋯⋯。
いつの間にか僕の隣にはさっき宝井と話していた先生が立っていた。
この人、忍者か何かなの⋯⋯?
さっき完全に気配消してたような気がしたんだけど⋯⋯。
「ああいう子が、きっと人の心を動かすんだろうな」
人の心を、動かす⋯⋯。
そんな先生の言葉で、僕はここ最近の寮のメンバーの行動を思い出していた。
やけに宝井のことを気にかけている陸、
そして宝井が行動するたびにつっかかる瑠衣。
冬夜と久遠は変わってないけど⋯⋯。
まさかのあの二人⋯⋯。
「お前もそうだろ? 浅葱」
「⋯⋯」
⋯⋯何も言えない。
確かに、宝井の言葉で僕の心は動かされた。
でも、そのことを僕自身が認めたくないのだ。
僕のプライドが邪魔をしている⋯⋯。
「自分の気持ちに素直になってみろ。
深呼吸して、一度自分に問いかけるんだ。
それで、一番最初に出てきたものが、お前の本当の想いってもんだよ」



