『そ、そういう、のは⋯⋯久遠さんが、本当に大切だって⋯⋯そう思える人と、してくださいっ!
私なんかに、しちゃダメです⋯⋯っ!』
先ほどの小鈴ちゃんの言葉を思い出す。
真っ赤な顔をしながらも、僕に向かって真剣に言っていた小鈴ちゃん。
あの顔が⋯⋯男たらしな人の顔だとは、
僕には到底思えなかった。
僕が、本当に大切だって思える人、か⋯⋯。
「ははっ⋯⋯」
静かな生徒会室に、乾いた笑みが響く。
そんなの⋯⋯とうの昔に捨てた夢だよ⋯⋯。
僕の生家、髙梨家は昔から続く財閥一族で、
僕の両親もその仕事に携わっている。
一人息子である僕は髙梨財閥の次期当主として、昔からそれ相応の期待をされてきたし、教育だって人一倍されてきた。
それ故に、僕が高校生になったらお見合いや許嫁を用意するらしい。
⋯⋯つまり、僕には恋愛が許されていない。
わかっている。
小鈴ちゃんには、もうすでに狙っている奴らが何人もいるってことなんて。



