「男の子って、どこまで進みたいものなの……!?」
静かな中庭に、咲夏の呟きがぽろっとこぼれ落ちた。
「ぶふっっ!!!!」
その瞬間、隣に座っていた怜が、勢いよく口からコーラを吹き出した。もしもここにテレビの画面があれば、マーライオンさながらのきらきらとしたモザイク編集が入れられそうなほど、見事な噴射っぷりだった。
「ゴホッ!!ゲホッゲホッ!おまっ、昼間からなんつーこと聞いてくんだよ!?」
怜は激しくむせ返りながら、口元から溢れたコーラを制服の袖で大慌てで拭った。
普段の涼しげなポーカーフェイスはどこへやら、完全に目を見開いて怒っている。
「え?!ごめん、急に突拍子もないこと言って驚かせちゃったよね!」
咲夏は我に返り、慌ててポケットからハンカチを取り出して差し出す。
怜はそれをひったくるように受け取ると、大きくため息をついた。
「いやもう、そういう問題じゃねーよ。どこからどうツッコめばいーのか、さっぱりわからんわ」
そう言って、憐れみの混じった複雑な視線を咲夏に向ける。
だが、そんな呆れ顔の裏で、怜の耳元がほんのりと赤くなっているのは、果たして気のせいだろうか。
「だって!こんな恥ずかしいこと、まともに聞ける男友達って、私には怜くんしかいないんだもん!」
咲夏も少し顔を赤くしながら、必死になって弁明した。冬弥を喜ばせたい一心で、藁にもすがる思いで繰り出した直球だったのだ。
しかし、怜はハンカチで顔を拭いながら、心底困り果てたように首を振った。
「いや、その質問を俺にぶつけられるお前が、俺はもはや怖ぇーわ」
「う……確かに、そう言われるとそうだね……」
咲夏は手の中の缶ココアを見つめ、自分の大胆すぎる行動に今さらながら赤面する。
中庭を吹き抜ける冬の風は冷たかったが、自販機前での赤っ恥から始まった二人の作戦会議は、奇妙な熱を帯びたまま続いていくのだった。



