夏と冬が重なれば。番外編


「もー、那智ってば照れ隠し激しすぎっ!」
「うるさい。早く行かないと昼休み終わるぞ」

顔の火照りを隠すように、はしゃぐ咲夏の手を引いて廊下を進む。
その時、前方から歩いてくる二人の男子生徒の姿が目に入った。見覚えのある、どこか気だるげで、だけど私にとってはあまりにも見知りすぎた顔。

腐れ縁の佐藤怜だ。

あいつも、クラスの男友達と肩を並べて他愛のない話をしながら、こちらに向かって歩いてきていた。
騒がしい廊下の中、私たち二組の距離がゆっくりと縮まっていく。学校ですれ違うことなんて珍しくもないはずなのに、なぜか今、あいにこの場を見られるのがが妙に気恥ずかしい。

怜の謎の鋭い視線が、私の隣でまだ楽しそうに笑っている咲夏へと向けられ、そして私の顔へと移る。

ゆっくりと、すれ違う瞬間。


「――へぇ、昔より良い顔してんじゃん」