夏と冬が重なれば。番外編


「じゃあ私、委員会の集まりがあるから放送室行ってくるね!」
知華はそう言って、お弁当箱を片手に笑顔で教室を出ていった。

蝉の声が響き始めた、初夏の昼休み。
残された私と咲夏は、喉を潤すために二人で購買の自販機へと向かって、校舎の廊下をのんびりと歩いていた。開け放たれた窓から、柔らかく心地よい夏の風が吹き抜けて、私たちの制服のスカートをふわりと揺らす。

風に髪をなびかせながら、私はふと、胸の奥にずっと仕舞い込んでいた疑問を口にしたくなった。
高校デビューをして、周囲を威嚇するためにまとったギャルの鎧。それを物ともせず、あの日の駅前で私の手を引いてくれた、向日葵のような女の子。

「……なあ、咲夏」
「ん? なーに、那智?」
「あんさ……初めて会ったとき、なんで私とダチになってくれたんだ?」

歩みを止めずに、なるべくぶっきらぼうを装って聞いてみる。
すると咲夏は、一瞬だけ驚いたように丸い目をさらに丸くした。それから、照れくさそうに薄ピンク色の長い髪を耳にかけながら、少しだけ目を伏せる。

数歩、静かに廊下を進んだあと、咲夏はゆっくりと私の方を振り返った。