夏と冬が重なれば。番外編

「いや、謝らなくていいって。実際、助けてもらったわけだし」
ぶっきらぼうにそう返すと、咲夏は顔を上げて、いたずらっぽく、だけど本当に嬉しそうに目を細めた。

「ふふ、じゃあ、澤木さん! これも何かの縁だし、さっきの嘘を本当にしちゃうってことで、友達になるのはどう??」

真っ直ぐに私を見つめる咲夏の笑顔。
中学の頃のクラスメイトが見せてきた、腫れ物に触るような怯えた目じゃない。夜の街で出会った、どこか投げやりな仲間たちの目でもない。私の内側を、外見の鎧ごとまるごと受け入れてくれるような、混じり気のない温かい眼差し。

その笑顔に吸い込まれるようにして、私の心の奥底に、ストンと心地よい温かな波紋が広がっていった。
ポカンと空いていた心の穴が、じわりと満たされていくのが分かる。

「……まぁ、別に、いいけど」
わざと気だるそうに髪をかき上げながら答えたけれど、私の口元は、自分でも気づかないうちに少しだけ緩んでいた。

こうして、安達咲夏は、高校に入ってからの私の「第一号の友達」になった。