夏と冬が重なれば。番外編


女の子は私の前に一歩踏み出し、店員の視線を遮るように立ちはだかる。

「だから、この子は万引きなんてしてません!! 悪いのはさっき逃げたオッサンです!! 私、全部ずっと見てましたからっ!!」

凛とした声が、夕暮れの駅前に響き渡る。そのあまりの気迫と、一切の迷いもない強い眼差しに、今度は店員の方が完全に圧倒された。
「そ、そうか……。いや、だが、あの男が逃げたとなると……」
店員はきまり悪そうに頭を掻き、私と女の子の派手な姿を交互に見て、ゴニョゴニョと言い訳を始めた。

「……すまなかったな。勘違いしてしまったようだ」

店員はそれだけ言うと、逃げるようにそそくさと店の中へ戻っていった。

取り残された駅前で、私は呆然と立ち尽くしていた。
夕風が、私の金髪のエクステを揺らす。
私を信じて、全力で庇ってくれる人間なんて、この世界のどこにもいない。そう諦めていたはずなのに。

「ふぅ……。ねえ、お尻大丈夫?」

女の子がくるりと私を振り返り、今度は悪戯っぽく、だけど本当に心配そうに、あの可愛い瞳を細めて微笑みかけてきた。