「何してるんですかっ!その子、万引きなんてしてませんよ!」
店員の動きがピタリと止まる。私も痛む身体を起こしながら、驚いて声のした方を見上げた。
そこに立っていたのは、私と同じ高校の制服を着た女の子だった。
ピンクベージュの長い髪が、夕暮れの風にふわりと揺れている。耳元でキラリと光るピアス、そしてこれでもかというくらいに大きくて可愛い瞳。
制服を少し着崩してはいるけれど、私と同じギャルの部類に入る、息をのむほど美人な子だった。
私が驚きのあまり声も出せずに固まっていると、その子はしゃがみ込み、私の前にスッと手を差し伸べてきた。
「あの、大丈夫?」
私は差し出されたその手を、恐る恐る握り返した。
ゆっくりと私を引っ張り上げてくれるその手は、驚くほど温かかった。レディースを抜けるとき、私の胸に拳を押し当ててくれた菜々緒さんの手の温もり。
あの、誰よりも不器用で優しかった人の手の温かさが、一瞬だけ頭をよぎる。
呆気に取られていた店員が、我に返ったように顔を真っ赤にして捲し立ててきた。
「な、なんなんだ君は!この子の友達かね!?身内贔屓で庇うのはやめなさい!」
だが、その女の子も少しも怯むことなく、店員を真っ向から睨みつけて負けじと言い返した。
「はい、友達です!ですが、ここで待ち合わせしてて、驚かそうと思って、私、ずっとこの子の様子を片時も離れず見てました!!」



