それからの日々は怒涛だった。
母さんは幸いにも一命を取り留め、少しずつ体調を回復させていった。私はレディースに使うはずだった時間をすべて家事と、逞のいじめの相談に充てた。
そして、あっという間に季節は巡り、春がやってきた。
高校一年生。新しい環境が始まる。
「でもさ……今の女子高生の流行りなんて、これっぽっちも分かんねぇ」
部屋のベッドの上で、私は頭を抱えていた。
中学時代は正論を振りかざして孤立し、そのあとは暴走族の特攻服を着て夜の街を這いずり回っていたのだ。
普通の「可愛い女子高生」の正解が、逆立ちしても分からない。
いや、そもそも私にほど遠い可愛さなんてつけ足してなんか特あるのか?
けれど、今まで上手くいかなかった分、高校では絶対に失敗できない。
過去の自分を完全に隠し通して、誰も寄せ付けない、誰も傷つけないポジションを確立しなきゃいけない。
その時、以前たまり場でチームの仲間が読んでいたファッション雑誌の表紙が、脳裏にフラッシュバックした。
(……これだ)
私はすぐに本屋へ走り、何冊かの雑誌を買い込んで研究を始めた。
たどり着いた答えは、気の強い『ギャル』。
普通の清楚な女の子を演じるのは、私の性格的にも口調のキツさ的にも絶対に無理がある。だけど、派手で、巻き髪で、メイクもバチバチのギャルなら、私の地のもともとの気の強さを「キャラ」としてカモフラージュできる。何より、ちょっと近寄りがたいオーラを出せば、変な奴らに舐められることもない。
私は短い髪にグレーのメッシュを入れ、制服のスカートを限界まで短くした。
少し不慣れな手つきでカラコンを入れ、クールなメイクを施していく。
鏡の前に立つ私は、中学生の頃の「正論モンスター」でも、夜を駆けていた「ヤンキー」でもない。
どこからどう見ても、今どきのクールなギャルそのものだった。
「ようするに、高校デビューってやつか?」
自分で自分に呆れながらも、私はリップを濃く塗り直す。
間違ったことが嫌いな本質は、きっと死ぬまで変わらない。だけど今度は、この新しい鎧をまとって、大切な家族を守りながら、私の戦いを始めるんだ。
私は通学カバンを肩にかけ、新生活の待つ玄関のドアを力強く押し開けた。
母さんは幸いにも一命を取り留め、少しずつ体調を回復させていった。私はレディースに使うはずだった時間をすべて家事と、逞のいじめの相談に充てた。
そして、あっという間に季節は巡り、春がやってきた。
高校一年生。新しい環境が始まる。
「でもさ……今の女子高生の流行りなんて、これっぽっちも分かんねぇ」
部屋のベッドの上で、私は頭を抱えていた。
中学時代は正論を振りかざして孤立し、そのあとは暴走族の特攻服を着て夜の街を這いずり回っていたのだ。
普通の「可愛い女子高生」の正解が、逆立ちしても分からない。
いや、そもそも私にほど遠い可愛さなんてつけ足してなんか特あるのか?
けれど、今まで上手くいかなかった分、高校では絶対に失敗できない。
過去の自分を完全に隠し通して、誰も寄せ付けない、誰も傷つけないポジションを確立しなきゃいけない。
その時、以前たまり場でチームの仲間が読んでいたファッション雑誌の表紙が、脳裏にフラッシュバックした。
(……これだ)
私はすぐに本屋へ走り、何冊かの雑誌を買い込んで研究を始めた。
たどり着いた答えは、気の強い『ギャル』。
普通の清楚な女の子を演じるのは、私の性格的にも口調のキツさ的にも絶対に無理がある。だけど、派手で、巻き髪で、メイクもバチバチのギャルなら、私の地のもともとの気の強さを「キャラ」としてカモフラージュできる。何より、ちょっと近寄りがたいオーラを出せば、変な奴らに舐められることもない。
私は短い髪にグレーのメッシュを入れ、制服のスカートを限界まで短くした。
少し不慣れな手つきでカラコンを入れ、クールなメイクを施していく。
鏡の前に立つ私は、中学生の頃の「正論モンスター」でも、夜を駆けていた「ヤンキー」でもない。
どこからどう見ても、今どきのクールなギャルそのものだった。
「ようするに、高校デビューってやつか?」
自分で自分に呆れながらも、私はリップを濃く塗り直す。
間違ったことが嫌いな本質は、きっと死ぬまで変わらない。だけど今度は、この新しい鎧をまとって、大切な家族を守りながら、私の戦いを始めるんだ。
私は通学カバンを肩にかけ、新生活の待つ玄関のドアを力強く押し開けた。



