それからの私は、まるで坂道を転げ落ちるようにグレていった。
学校にはろくに行かず、髪を染め、制服を崩し、まともな奴らが寝静まる時間を待つ。
ブォォォォンッ!!
夜の闇を切り裂くような、けたたましい排気音が響く。
地元のレディースの仲間たちと、改造バイクで夜の国道を突っ走るのが、私の新しい日課になっていた。
ヘルメット越しに受ける強烈な夜風が、頭の中の雑音をすべて吹き飛ばしてくれる。
スピードを上げるたび、あの日のガラスが割れる音、床に滴る血、そして母からのビンタの衝撃が、遠い過去のように霞んでいく気がした。
「那智ー! 次のシグナル、左に流すよ!」
前を走る仲間の大声に、私はアクセルをさらにひねって応える。
真っすぐに生きることをやめた私に、もう誰も正論なんて求めてこない。
壊れたマフラーの爆音だけが、今の私の存在を証明していた。



