夏と冬が重なれば。番外編

ガシャァン!!

激しい金属音と、耳を突き刺すような破壊音が教室に響き渡った。
衝撃のあと、じわじわと右腕に熱い痛みが走る。見下ろすと、制服の袖が真っ赤に染まっていき、破れた布の隙間から、床に向かってゆっくりと赤黒い血液が滴り落ちていった。

「キャァァァァッ!」
「血!澤木さん、すごい血が出てる!」

周りの女子生徒たちが悲鳴を上げ、パニックになりながら担任を呼びに教室を飛び出していく。

中学二年生になった頃、私のクラスで陰湿な男子のいじめが発覚した。
いつものように、曲がったことが大嫌いな私が黙っていられるはずもない。
主犯格の男子の前に立ちはだかり、いつも通り正論を叩きつけた。
「ダサいことしてんじゃねーよ」
だが、調子に乗っていたそいつらは、私の言葉に逆上した。
「うるせえんだよ、女のくせによっ!」
強い力で胸元を突き飛ばされ、私はバランスを崩した。運悪く後ろにあったのは窓ガラスだった。

床の血だまりを見つめながら、私の頭の中は、驚くほど冷え切っていた。

(あぁ……もう、心底どーでもいいわ)

今まで私の中で、かろうじて理性を繋ぎ止めていた細い尾が、プツリと音を立てて千切れた。
正しいことを言っても煙たがられ、結局は暴力でねじ伏せられる。だったら、言葉なんて最初から必要なかったんだ。

「てめぇ……っ!」

私は怪我をした腕の痛みなど忘れ、突き飛ばしてきた男子の胸ぐらを掴み、思い切り床に叩きつけた。
「ひっ、あ、あいつ狂って――」
怯える男の顔面に、容赦なく拳を叩き込む。馬乗りになって、何度も、何度も、拳が血に染まるまで殴り続けた。泣き叫び、許しを請う男の声を無視して、私はただ衝動のままに拳を振り下ろした。
数人の教師たちが教室に血相を変えて飛び込んできて、私を大人数で組み伏せて引き剥がすまで、私は絶対にその手を止めなかった。