夏と冬が重なれば。番外編






        ―――mimosa―――






ミモザ:一般的な花言葉は、「秘密の恋」または




     そして、―――"秘密"











※ここからは、深瀬 知華視点の番外編になります※




「はああ〜っ!! レオ様コンプリートぉおお♡」

夜も更けた暗い自室。
液晶画面の眩しい光に照らされながら、ベッドの上で身悶えして小さく叫んでいるのは、この私――超隠れオタクの深瀬知華だ。

中学時代の私は、こんな感じで寝食を忘れて推し活に励み、二次元への愛をひたすら極めていた。
だけど、そんな楽しかったオタクライフにも、現実という名の壁が立ちはだかる。
ネットの海を見渡せば、高校の人間関係は中学より何倍も複雑で、山あり谷ありだという情報ばかり。

「このままじゃマズい……。高校では絶対にぼっちを回避して、楽しく過ごさなきゃ!」

そう一念発起した私は、なんと『高校デビュー』を決意することになったのだ。

きっかけは、当時やり込んでいた大人気乙女ゲームだった。
そのゲームには、とある『ギャル貴族キャラ』が出てくる。
主人公の心強い味方としてピンチに駆けつけてくれるポジションなんだけど、裏表がなくて、優しくて、それがまた最高に格好よくて可愛いくて……!

「あぁ……こんな友達がいつか現実にできたらいいなぁ……なんて」

ゲームのコントローラーを胸に抱きしめたまま、興奮で床に寝そべって天井を見つめているうちに、気づけば窓の外には朝の光が差し込んでいた。

それからというもの、私の「理想のギャル友達を作るための高校デビュー大作戦」が幕を開けた。
やるからには絶対に失敗したくない。
オタク特有のリサーチ能力をフルに発揮して、ネット、SNS、雑誌、あらゆる媒体を駆使してギャルのメイク、ファッション、言葉遣いを調べ尽くした。

コテの巻き方、カラコンの選び方、垢抜けて見える制服の着崩し方――。
血の滲むような研究と練習を重ね、私は見事、誰も元がオタクだとは気づかない完璧な「ギャルデビュー」を果たして朝凪高校への門をくぐったのである!