夏と冬が重なれば。番外編

一面の向日葵に囲まれながら、私達は二人で寄り添って、スマホの画面に最高の笑顔を浮かべて記念撮影をした。カシャ、と夏の思い出が切り取られる。その写真を、クラスメートで大親友の知華と那智に写メ付きメッセージで早速送ってみた。

すると、送ってすぐに二人から怒涛の勢いで返事が返ってきた。画面を開くと、煽るようなスタンプと一緒に「あちあち〜」「ラブラブぢゃん!」「ひゅ〜〜っ!!」などのメッセージが画面を埋め尽くしている。

「あはは、知華たち、相変わらず反応が早すぎだよー」

スマホの画面を見ながら私が笑っていると、隣にいた冬弥くんが私の顔を覗き込んできた。

「ねぇ、咲夏。向日葵の花言葉って知ってる?」

いつになく優しくて、どこか深い響きを含んだ声で冬弥くんが聞いてくる。
花言葉なんて急に言われても分からなくて、私は一度、青空に輝く大きな太陽を見上げた後、再び冬弥くんの方へと視線を移した。

「ん〜、なんだろう……。太陽、とか? それか、元気とかかなぁ……?」

人差し指をあごに当てて首をかしげる私を見て、冬弥くんは「くすっ」と愛おしそうに喉を鳴らして笑った。

「んー、ちょっと違うけど、それも咲夏らしくていいね」

そう言うと、冬弥くんは持っていたスマホをポケットにしまい、私の前に一歩近づいた。そして、大きくて温かい右手を、ゆっくりと私の頬に当ててきた。

「ひゃ……っ」

不意に触れられた体温が少しだけくすぐったくて、私は照れ隠しをするように、冬弥くんの手の甲に自分の小さな手のひらをそっと重ねる。冬弥くんは優しく微笑んだまま、向日葵の海に負けないくらい真っ直ぐな瞳で、私の目をじっと見つめてきた。

「向日葵の花言葉はね……『あなただけを見つめる』だよ」

胸の奥に、冬弥くんの熱い言葉が心地よく染み込んでいく。

「俺は、入学する前からずっと……咲夏と初めて出会ったあの日からずっと、咲夏だけを見つめてた。自分でもびっくりするくらい、それくらい咲夏のことが大好きで、大切で……一目惚れだったんだ」

夏の風が、二人の間を優しく通り抜けていく。
冬弥くんの口から明かされた、出会ったあの日からの、ずっと変わらない一途な想い。
まさかあの桜の木の下での出会いから、冬弥くんが私だけをずっと見つめていてくれたなんて。

胸の奥から込み上げる愛おしさと幸せで、私の視界がじんわりと潤んでいく。
"世界で一番特別なお姫様"にしてくれた冬弥くんの胸に、私はもっと深く甘えたくなりながら、繋いだ手にぎゅっと力を込めた。