優しい君に溶けていく


透くんに、好きなんて言ったことない。

好きなんて、言って、傷付きたくない。

部屋で気付いたら泣いていた。

透くんと別れるのが、いつの間にか怖くなっていた。


透くんを避けるようになった。

これ以上好きになったらダメだと思った。

振られた時のダメージが大きくなるのが怖かった。


<どーこいんの?>


避けてても、つまんないって振られるのかな。

分からない、分からないよ。


「透くん…」

「いた。何?」

「へ…?」

「やっぱ屋上にいると思った」


微笑む彼は、隣にくっついて座ってきた。


「なんかあった?」

「…色々」

「色々、か」


あなたのことが好きで悩んでました、なんて言えるわけなかった。


「ほら、寒くなるし暗くもなる。帰ろ」

「…うん」


透くんの手を取って、立ち上がった。

帰りながら、特に何も話していなかった。

だからか、私の頭の中に、元カレのトラウマがよぎっていた。

改札に着いて、私は、透くんのブレザーをつまんだ。