優しい君に溶けていく


は?

可愛い顔してる、ならまだ百歩譲って分かる。

顔がタイプだったんだなーって。


「いつそんな、可愛い顔なんてした?」

「前の彼氏にじゃない?いつか絶対奪ってやろ、って思ったけど、俺は」


そんな可愛い顔なんてするわけない。

感情表現は苦手だ。

第一それで振られてる。

透くんの勘違いだ。

間違ってない、カウントダウンは。


放課後。

かっこよくスライディングして、透くんは登場。


「苺ちゃん!かっこよく決まった!」


ちょっと子どもっぽいところもあるんだなー、可愛いなぁ、なんて。


「一緒に帰ろ!」

「うん」


教室を出ると、有無を言わさず手を繋いできた。


「苺ちゃんの手、ちっちゃい!可愛い発見!」


輝くような笑顔で、そう言ってくる。

そんな笑顔、私が独占していいの?


他愛もない話をしていて、乗る電車が反対方向ということが分かった。

一緒なのは改札まで。


改札をくぐって、手を振った。

つ…疲れた。

見慣れない整った顔立ち。

キュンとする言動。


…でも私はそれに、大した反応はできなかった。


「つまんない女…」