偽りの姫の手に堕ちた元姫は、最強男子達に寵愛される。

〘 side 陽 〙

天崎 結杏。

それは、元々俺とは関わらないはずの女だった。



ある日、日向と薫の小言から逃げる為に適当に学園外をブラブラしていると、目の前に黒髪の女が立ち尽くしていた。

…なんだ、あいつ。

でもどこか見覚えがあった。

…あー。

この前ぶつかってきたやつか。

あの時も不思議だった

普通なら俺にぶつかった奴は怖気付いて半泣きで逃げ去っていくのに

こいつだけは平然としていたから。

改めて見ても…

後ろ姿だけでもボサボサな髪。

縮こまった背中

いつもならほっとくのに、

何故か放っておけなかった。

「…大丈夫か?」

すると驚いたように「…え?」と振り返るそいつ。

俺はその顔を見て驚いた。

その顔は、ついこの前こいつと同じように泣いていた星羅と呼ばれる女の顔に、そっくりだったから。

星羅。

Silvaの姫とも呼ばれるやつで、絶世の美しさ。なんて言われてる奴らしい。

俺は興味もないけど、日向や薫はとてつもなく興味があるらしくSilvaの情報を調べては嬉しそうにしていた。

…いや、確か星羅の髪色は水色って言ってたし…目の色も違うか…。

「っえっ…あ、何でもないですっ…!
ごめんなさい、こんな所で…」

慌てたように立ち直そうとしてるようだが、足が震えているのか立ち上がれていないそいつ。

俺は気が気ではなく、そいつの前にしゃがみこんだ。

「…お前、この前もここで泣いてたやつか?」

「…この前、声をかけてくれた人…ですか?」

きょとん…としたように首を傾げて、聞き返してくるそいつ。

とりあえず肯定すると、またもや

「ありがとうございます…。
もう、大丈夫ですっ」


「…そっか。」

思わずそいつの頭をぽんっとする

…いや、今俺何して…。

慌てて離そうとすると、またそいつは目をキュッ…として今にも泣き出しそうになっていたから離しずらくなった。

「これ。
貸してやる」

それから俺はそいつと他愛もない話をして、そのまま去った。