偽りの姫の手に堕ちた元姫は、最強男子達に寵愛される。

〘 side 蒼月 〙

星羅が消えて早数日が経った。

星羅に関する情報は今の所、何一つ見つかっていない。

この前、先輩に電話がつかながったと思ったら

『もう…っ電話はやめてっ…』

突き放された。

謝りたい。

でも星羅に嫌われたくない

そんな俺の思いが交差していたその時だった──

ガチャ

扉が開く

「…誰だ」

俺が殺気を込めて聞き返せば、1つの声が響く

「あらあら…」

すると、長い黒髪の口元にほくろのある女が現れた

「ってめぇ、ここがどこだか分かってんのかッ!」

「遼落ち着け。
…君、俺は見覚えがないんだけど…誰?」

雅人が遼を宥めながら問いかける

「失礼致しました。
私の名前は日比谷 雫。
諸事情により1年遅れてしまったんですが、先日からここに2年生として入学させて頂いたんですよ」

「日比谷さん…ね。
ここにはどういう要件で?
ここは一般生徒立ち入り禁止のはずだけど…」

忙しいから早く帰ってくれ。と遠回しに伝えてみる

「あら、
私は一般生徒ではなくてよ。」

「は?」

一般生徒じゃないだと?

何言ってんだ、こいつ。

「だって、
─姫。
ですもの」

ニコッと笑みを浮かべる女

でも俺にはそれが、不気味でしかなかった。

「姫?
それは星羅のモンだ。
勝手に名乗ってんじゃねーよブス」

「勝手?
私は" 星羅さん本人からこの座を貰った "のに…
…失礼では?」

フフッと下手な笑い方をする女

「…は、っ?」

星羅から代わってもらった?

なんで?

星羅が…?

「星羅さんは苦痛だったそうなんです。
一般生徒としてのびのびと暮らすことを望んでいたにも関わらず、暴走族に入って…
たくさんの生徒達からの褒め言葉も、
貴方達との関係も。
全部、
─嫌で嫌で仕方なかったそうですよ」

…っは…?

星羅が…ほん、とうに…?

『蒼月っ!』

俺達が…嫌?

あの笑顔も、

全部…

…嫌で嫌で、仕方なかった…、?

「星羅がそんなことある訳ねーだろ!!
ある事ないこと並べやがってっ…!
星羅のことをお前が語んじゃねーよッ!!」

遼が信じねーぞ! と半分狂ったように叫ぶ

そうだ。

星羅がそんなこと、

あるわけない

そう思っていると、女が1つのボイスレコーダーを取り出す

何して…

「『私は…Silvaが、嫌い。』」

「「「!!」」」

俺が…その声の持ち主を、間違える、はずが無い。

ボイスレコーダーから流れたのは、間違いなく星羅の声だった。

「な、んで…」

「理由は、私にも分かりませんけど…。
…星羅さんに真相を聞きたいですか?」

「当たり前っ…!」

「なら、私と取引してください。」

「取引…?」

「私は、星羅さんの居場所・情報・失踪の理由を知っています。
それを貴方達に機嫌が過ぎれば教えて差し上げましょう。」

「…その、期限っていうのは?」

「私を、" 姫 "にしてくださいな。」

「「「っ!!」」」

「っふざけっ…!」

「なら、星羅さんの居場所は誰にも分からないままですね。」

「っ…蒼月、こんな取引しちゃ駄目だっ…!」

「…この数日間、星羅の情報を掴めた奴がいるか?」

「それ、は…」

雅人が目を伏せる

この数日、星羅の情報をありとあらゆる方法で調べ尽くしたが、何も見つからなかった。

「…なら、取引成立ですか?」

「っ…本当に、星羅のことを喋んだろうな。
騙しやがったら、お前…ただじゃおかねーぞ。」

「もちろん。
それでは、期限は4ヶ月…ということで。
全校生徒への告知も忘れずに。
あとここも解放させて頂きます。
後は私の護衛も、ご依頼しますね」

「そこまでするとは言ってなっ…!」

「あら?
歴代の姫となった人達は皆していましてよ?」

「それはっ…」

護衛などは星羅が嫌がったからしなかった。

『みんなの時間を奪っちゃうのは申し訳ないからっ…!
それに、友達を従わせるなんてことしたくないの。』

そういう所も、好きだった。

…星羅。

俺は、

星羅の為なら、地獄にだって行けるんだ。

待ってて、星羅。

絶対…取り戻す。

俺は本当に愚かだった。

この女の本性も、全てもを。

──知らずに