ゴマすりガールと会長さま

ゴマすりガールと会長さま
この気持ちの正体 第5話
はぁ、昨日は全然眠れなかったな〜
「……さん、梨々衣さんっ!」
日奈ちゃんの呼ぶ声に気が付いて、私は我に返った。
「……っ!どうしたの……?」
「どうしたの……ってこっちのセリフッスよ!さっきからぼーっとして、今日の梨々衣さん……なんか変ッスよ?」
しまった!私ったら昨日のことに気を取られてぼーっとしていたじゃないか!
私と日奈ちゃんで話しているといつもみたいに話に入ってくる奴がいた。
「梨々衣がおかしいのはいつもの事だろっ」
「涼介っ!あんたね……はぁ、もういいや」
いつもみたいに怒りたいとこだけど、私にはそんな気力がなかった。
「梨々衣、何かあったか?」
「分からないんスよ〜」
私にも分からないよ。はぁ〜あ
「きゃ〜!雨乃さまよ!」
雨乃さま……ってもしかして私の知っている
あの、雨乃さんかな……?
「雨乃さまが来るなんて珍しいわ〜!誰かに用があるのかしら?」
「用って誰に……」
横目で見ていると、教室の前で雨乃さんが立っている姿があった。
やっぱり、美人は教室の前に立ってるだけでも絵になるな〜。
私は少しの間、見つめていると雨乃さんと目が合った。すると、雨乃さんはだんだんとこっちに向かって歩いてきた。
「保科さん、ちょっといいかしら?」
私に用だったんだ!もしかして……昨日、帰ったこと怒りに来たのかも〜!
「は、はい」
それから、私と雨乃さんは誰も居ない噴水の場所に移動した。
「あなた、会長のことが好きなの?」
「うぇ!?」
私が、会長を……?な訳ない!だって、あんな無自覚、人たらしを好きになんて……
「何よ、そんな驚くこと?」
「だ、だって……」
「私、考えてみたの。あなたの様子がおかしかったのは姫香と会長の話を聞いてからだったからもしかしてって思って……」
雨乃さんすごい……!私がモヤモヤしたのは確かにその時だったかも。でも、まさかあの気持ちがヤキモチだったなんて……私、会長のこと好きなのかな?
「確かに、姫香は可愛いくて愛嬌があるし、会長と並ぶと絵になるけど、その話はあくまでも、噂だし……大丈夫よ」
あはは、これは雨乃さんなりのフォロー、それとも諦めろという忠告なのでしょうか?
でも、一つだけ聞きたい。
「雨乃さんは私のこと嫌いですか?」
「なによ、急に……?」
雨乃さんは戸惑っていたけれど、私の顔をみて真剣だということが伝わったのか、ちゃんとした本音を話してくれた。
「そうね……最初は、何このぽっと出の子は!って思ってたけど、仕事を最後まで諦めずに全力で成し遂げる子だって分かったから……」
雨乃さん……。
「今は、嫌いじゃないわ……むしろ、頑張りを認めてる自分がいるの。」
「雨乃さん、その言葉が聞けただけで私は元気をもらえました。ありがとうございます!」
私が笑顔でお礼を伝えると、雨乃さんもにっこりと微笑んでくれた。
「これからもあなたの頑張りを期待してるわ。生徒会の人と深く関わってみんなから認めてもらいなさい。応援してるわ」
「はいっ!」
雨乃さんに、私の頑張りを認めてもらったってことだよね。後は、この気持ちをを確かめに行かなきゃ!
私は、少し散歩をして、教室に戻る途中に
会長室に寄った。
ノックを三回して……と。コンコンコン
「失礼します。会長っ」
「あ、ゴマすりガール……君ってば、昨日の報告を雨乃に任せて帰るなんて〜!僕、なんかしちゃった?」
私、いつもならすぐに会話ができるのに、意識した途端、会長の顔見れないよっ!
「ゴマすりガール……ねぇ大丈夫、保科?」
会長は、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「だ、大丈夫ですっ!」
自分でも分かる。今すごく私の顔が真っ赤ってことが!それに……いつも変な呼び方なのに、急に名前呼びは反則だよっ!
「そう……?で、さっきの続きだけど、僕だって君と仕事したかったんだから。そのかわりに、次からは休む時、真っ先に伝えてよ」
……やっぱり雨乃さんの言う通り、私は会長のことが好きなんだ!
「あの、返事ないと照れるんだけど……」
そっぽを向いた会長の頬に優しくキスをした。
「え……?」
わ、私!何やってるの!なんか、今すぐに会長を私のにしたいって思っちゃって……!
「い、いたずら!ですっ……それじゃ!」
何しちゃってるんだよ私〜!で、でも……姫香さんみたいな人が近くにいるんだもん。
このくらいしないと会長には、意識してもらえないよね!
よ〜し!こうなったら会長に、私のこと好きになってもらうぞ〜!待っててね、会長〜!


悠視点
昨日の雨乃が言っていたこと、一体どういう意味だったんだろ。罪な人……?何もしてないんだけどな〜実は何か重大な罪、犯してたかな
それに、ゴマすりガールも用事があるって前もって言ってくれれば良かったのに……
「やあ、悠。なんか思い詰めてるみたいだね。」
「海っ!少し、考え事をしていただけだよ」
やっぱり、幼馴染だし、考え事をしている時は表情で気付くのか。
「そういえば!噂になってるね〜」
噂……?
「何のこと?」
「まさか、知らないの?」
なんの噂かまったく検討がつかないよ。
「生徒会の花園さんと悠が、付き合ってるんじゃないかって話〜」
「えっ!?」
花園と僕はあくまで、同じ生徒会の仲間っていうだけ、ただそれだけでどちらにも恋愛感情なんてないのに……
みんな信じてるのか?ゴマすりガールも……
「もしかして、海も信じてる……?」
「ははっ、まさか。花園さんは仕事ができて人気者だけど、悠のタイプじゃないでしょ。」
「うん、その通りだね」
さすが、幼馴染。僕のことをよく分かってる
花園さんは頼りになるけど、恋愛感情はない。それに、最近は面白い子を見つけたし……ね。
「あ、僕、先生に呼ばれてたんだった。それじゃ、また後でね。」
「うん、また後で」
まさか、そんな噂があったなんて……まあ、すぐにこの噂はやむだろう。
椅子に座って休んで少しすると、コンコンコンとノック音が聞こえた。
「海……?」
何か、忘れ物でもしたのかな……?
「失礼します。会長っ!」
ゴマすりガールっ!?どうしよう、何を話そうかな……?とりあえず昨日のことを……そして、噂を聞いてるかもしれないから……っと。
「あ、ゴマすりガール……君ってば、昨日の報告を雨乃に任せて帰るなんて〜!僕、なんかしちゃった?」
あれ、いつもと様子が違う……?
「ゴマすりガール……ねぇ大丈夫、保科?」
呼んでも、返事がない?ホントに具合が悪いんじゃ……?そう思い、僕は心配で保科の顔を覗き込んだ。
「だ、大丈夫ですっ!」
顔が赤いけど、ほんとに大丈夫かな……?
「そう……?でさっきの続きだけど、僕だって君と仕事したかったんだから。そのかわりに、次からは休む時、真っ先に伝えてよ」
あれ……?返事がないな。もしかして僕にこんなこと言われるの嫌だったかな……でも、なんだか嬉しそうな顔をして固まってる……?
「あの、返事ないと照れるんだけど……」
僕が、恥ずかしくなってそっぽを向いた。
その瞬間、僕の近くに保科の顔があった。
「え……?」
い、今、保科が僕にキスを……!?
どうしてやったのかを聞くように僕が保科の方を向くと、その視線に気付いたのか慌てて答えた。
「い、いたずら!ですっ……それじゃ!」
あ、行っちゃった……。
いたずら……?どうしよう、僕、柄になくドキドキしてしまってる!ホントにされたんだよね……?何度も確認するように、キスされたところを撫でた。
やっぱり、君からは目が離せないね。ゴマすりガール……


仕返し完了?
ああ〜やっちゃったんだよね!痛たっ。やっぱり、夢じゃないか〜
私はあたふたしながら、廊下を走っていた。
そのせいで誰かが、前から歩いてくるのに気が付かなかった。
「痛っ、ご、ごめんなさい!私、前見てなくて」
「ふふっ、大丈夫ですよ」
あれ……?この人見覚えがある、どこかで……あ、生徒会の人だ!
「あなた、生徒会の一人ですよねっ!」
「はい、日向 颯です。」
日向さんか〜!クールな人なんだと思ってたけど、いざ話してみると、優しい雰囲気をまとってる感じがするな〜!
立ち上がろうとした私たちの間を猫が通っていった。
「あ、猫が通りましたよっ!」
「えっ!どこですか!?」
目を輝かせながら辺りを見回している日向さん
「あちらです!」
日向さんが、近寄るとゆっくりとこちらに歩み寄ってきた猫ちゃん。
「可愛いですね〜!」
「ふふっ、少しこちらのベンチで話しませんか」
「はいっ!もちろんです」
そういえば、日向さんって私のことどう思ってるんだろう?
「あの、大丈夫なんですか……?」
「何がですか?」
私は恐る恐る聞いてみた。正直に嫌だって話されると思うと少し怖い
「あの、その……生徒会の」
やばい、声小さかったかな、聞こえてたかな。
「ああ!大丈夫ですよ。それに、猫好きな人に悪い人はいませんから」
そう言ってニッコリと微笑んだ日向さん。
良かった〜!日向さん、優しいな。
「ふふっ、日向さん!髪にハートの形の葉っぱが付いてますよ。あははっ」
私は優しく日向さんの頭に付いている葉っぱを取った。
日向さんは照れくさそうに言った。
「もう、笑わないでくださいよ〜。でも、ありがとうございます。それと、日向さんはやめてくださいっ」
は、はい……?
「これからは気軽に颯と呼んでください」
颯〜!?む、ムリムリ!
「あの、それじゃあ、颯くんと呼んでも?」
な、なんか、照れるんだけど!
涼介は、昔から呼び捨てだし、クラスの男子は苗字呼びだから……
「はい、嬉しいです」
くっ!その笑顔、反則です!
「みゃ〜!」
颯くんの腕から出ていった。あ、猫ちゃん!どこ行くの〜!
「あ、行っちゃいましたね。では、僕もそろそろ行きますね。またお会いしましょう」
そう言って手にキスをしていった。
この学園の男子は何でこんなにも、ドキドキさせるの〜!帰国子女か何かかな?
ふぅ、心臓に悪かった〜!