ゴマすりガールと会長さま

ゴマすりガールと会長さま
生徒会での初商売 第2話

「……してほしいことってなんですか?」

私は、恐る恐るニコニコとしている会長に聞いてみた。

「それはね……」

それは……?

「メイクが出来なくて悩んでる子がたくさんいるらしくてさ」

「つまり私がメイクを教えろと?」

「そうだよ。ゴマすりガールも物分かりだけは良くて助かるよ。」

なんだかすごく貶されてる気がした。

でも、ここは我慢!商売のために!

「分かりました。やります!やらせてください」

メイクは私の得意分野だ!正式な商売が出来るなんて、嬉しい限りだ。

「それじゃ、早速行こっか。」

「はいっ!」

わぁ、なんか、緊張してきた!上手く教えられるかな?

そわそわしている間に目的地へと到着した。

「はい、着いたよ。頑張ってね」

「は、は、はい。」

大丈夫!私なら出来る、出来る!そう思いながら扉の 前に突っ立っていたら会長が言った。

「もしかして、緊張してる?じゃあ、緊張しなくなるおまじないをかけてあげるよ。君が緊張しなくなりますように……。」

その言葉と同時に会長は、私のおでこに優しくキスをした。

「な……!」

「これで大丈夫っ。ほら行ってらっしゃい」

会長が扉を開いてから、私の背中をゆっくりと押した。

「あ!あなたが今日、私たちにメイクを教えてくれる人ですか?あ、あの……」

私はらさっき会長にキスされたところを抑えながらボーッとしていた。

「あの!顔が赤いけれど、大丈夫ですか?」

「はっ、だ、大丈夫です!」

もうっ、会長のせいだ!でも……なんかあの
おまじないを知ってるような気がする。

「すみませんでした。気を取り直してメイクを教えていきます!」

「これはこうして、こうで……そうです!それで完成です!」

ここにいるみんなに、ていねいにメイク方法を教えたら、みんなすごく喜んでくれ、大満足だと言ってくれた。

「あの!私たち、保科さんのおかげで可愛くなれました!」

「ほんと、別人になった気分です!」

「いや私はメイクを教えただけなんで……」

みんな、垢抜けてとっても可愛くなった。

もしかしたらここに居る子全員、メイクの才能があったのかもしれない。

「いえ、保科さんがいなければ、私たち、こんなに可愛くなれませんでした。本当にありがとうございました!」

みんなが、私のおかげだって褒めてくれる、やっぱり、商売やってる時がとっても楽しい!

みんな帰って行った。この学校は、メイクがOKらしいから、私も久しぶりにメイクをしようっと。

「みんな喜んでたね。ゴマすりガールっ」

「か、会長!」

メイクに集中してて気付かなかった!

……さっきの思い出しちゃって、まともに会長の顔を見れないよ〜。

「あれ?もしかして、メイクしてる?」

「は、はい」

「メイクしてるとまた雰囲気が違うね。似合ってるよ。可愛い」

「///!」

私は思わず走って逃げてしまった。

不意打ちはずるい!これは全人類のみんなが、ドキドキしてしまうだろ!

それにさっきのキスといい、今といい、この人は、魔性の人たらしなんじゃないか……!



会長視点

あの子は、初めてあったタイプの子だ。減点されるっていうのに、商売の方ばっかり気にしてる。それに……反応が面白い。

生徒会に入れるってのに、顔をころころと変えて納得していない感じだった。でも、最終的に生徒会に入ってくれたからよかった。それに、さっきのおまじないの時のデコちゅーも……

「もしかして、緊張してる?じゃあ、緊張しなくなるおまじないをかけてあげるよ。君が緊張しなくなりますように……。」

「な……!」

ふふっ、真っ赤になっちゃって、ほんとに面白かった。……けれど、あの子は……どこか似てるんだ。昔、僕を助けてくれた、おまじないをかけてくれた子に……。また、会いたいな……

梨々衣視点

ああもう、頭から離れろ〜!


「あれ?梨々衣じゃん」

「りょ、涼介!」

いつもなら普通に接するのにさっきのことを思い出して動揺してしまったじゃないか!

「梨々衣、なんか……」

顔が赤いのバレたかも……。

「お前、変な顔してんぞっ。」

「えっ!」

メイク、走ってて崩れたかな?

「ああ、ごめん、メイクしてるからだったわ」
「はあ!?最低!乙女がメイクしてるのを変な顔ですって〜!」

そうだった、こいつ、こういうこと関してはバカだった。今までだって、女の子達の好意にも気付かない鈍感男だった。

だから、私の顔が赤いことにも気付くわけない。ふぅ、バレなくて良かった〜

「……」

涼介視点

あいつ、いつもと様子がおかしかった。それに……顔が赤いのも何かあったんだ。
気付いてないとでも思ってるんだろうけど、俺なら分かる。あいつとは何年も幼馴染をやってるんだ。

梨々衣は意外と天然なところがあるから、昔から俺の好意に気付きはしない。梨々衣にあんな顔をさせるのも、初めて見るのも、全部……俺が良かったのに……

昔……梨々衣がいじめられていた事があった。

「お前、可愛いからって調子に乗ってるだろ〜」

梨々衣は昔から可愛いかったから、いろんな男たちから好意を向けられていた。でも……
告白を断り続けていたことで、男たちからいじめらていた。

「あれ?梨々衣、その傷どうしたの?」

「あ、なんでもないよ。ただ転んだだけだから」

「そっか、気をつけて歩いてよ」

「うん、分かってるよ」

梨々衣は昔から、我慢強くて誰にも頼らない奴だった。だからみんな気付かなかったんだ。

けれど、一人だけ、俺以外にも梨々衣と仲が良くて、いじめられてることを知っていた奴がいた。

梨々衣、どこだろ……?あ、いた!

「梨々衣ちゃん、大丈夫?」

「うん、へーきへーき!」

大丈夫……?なんのことだろう、相手の子は……

「梨々衣ちゃん、もうこれ以上、僕の分まで殴られるのはやめて……」

梨々衣と一緒に居た奴は、涙目になりながら、梨々衣のことを見つめていた。

それなのに、梨々衣は……自分が一番辛いはずなのに、明るく笑っていた。

「……くん、元気になるおまじないっ!」

「///!……梨々衣ちゃん」

俺が見たのは、一緒に居た奴に元気になる、

おまじないだと言ってデコにキスをしているところだった。

梨々衣に片思いしている俺からすると、悲しくなる光景でその場から逃げ出したんだ。

梨々衣が、いじめられていること……知らなかった。……っは!もしかして、あの時のケガも殴られて……

その時に誓ったんだ。梨々衣のことは俺が守るって、強くなるんだって!


癒しの力?

「はあ、涼介の奴、なんなの〜!もう……」

「♪」

あれ?どこかからピアノの音が……。私は音のなる音楽室の方へと向かった。

「綺麗な演奏〜!」

ピアノで演奏していた人が、私に気付いて手を止めた。

「梨々衣ちゃん?」

え、なんで、私のこと知って……

「やっぱり〜!梨々衣ちゃんねっ!」

あ、このふわふわとした人は確か……

「姫香……さん?」

「わぁ!嬉しいっ、覚えててくれたのねっ!」

「あ、はい。演奏、上手でしたね」

私がそう言うと嬉しそうに目を輝かせた姫香さん。まるでうさぎみたいな人だ。

「ふふっ、ありがとう!そうだ!あなた、今帰り?一緒に帰らない?」

「あ、えっと……」

チラッと姫香さんの方を見ると……わぁ、すごい、目が輝いてる〜!

……結局、姫香さんの圧に負けて一緒に帰ることになってしまった。

「あ、そうだ!梨々衣ちゃんごめんなさい、生徒会でのこと……」

ああ、みんなの態度のことだろうか。別に気にしてないんだけどな〜。

「姫香さんが悪い訳ではないですし、大丈夫です気にしてませんから」

「そう?じゃあ、困ったことがあったらいつでも頼ってね!梨々衣ちゃんっ」

うう、眩しい!姫香さんの笑顔がぁ〜!

「あ、私こっちなの。ここでお別れね。一緒に帰れて楽しかったよ〜!また帰ろうね〜」

「あ、はい。また帰りましょうね」

姫香さん、優しい人だったな〜。生徒会のお姫様的
存在だもん、素敵な人だよね。

こうして、どんどん、生徒会に馴染んでいけるといいな。