精神科医・荒品明星の人間失格論

」「どうかなさいましたか!?」
直ぐに走って病室に入ると…其処は、比較軽症の患者さんの入院する病室だった。 
みれば…5人の子供たち。
全員が、一斉に此方をみた。

「か……かんごしさん……」
「かんごしさん!!れいくんをたすけて!!」

女の子が私に話しかけてくる。『れいくん』とは誰か。
病室の奥に進むと………

「……え!?」

仔猫を抱えた幼い少年が、木の上に。
今にも落ちそうで見ていられない。

「れいくんが……れいくんがしんじゃううう!!」

わぁわぁ、と病室内はパニック状態だ。
(まず子供たちを宥めて……嫌その前にれいくんを助けるほうが……でも……)
此処は2階。木との距離は1メートル弱。私が乗れば折れる可能性がある。
優先順位と危険性を考えていると………
木の上のれいくんもパニックになり、泣き出してしまった。
涙の伝染。子供によくあるものだ。
大人にもよくあると何かの本でよんだ。
あれ…なんて名前の現象だっけ。
自分もパニックになってきていると気づかずに一瞬手を止めてしまう。

その瞬間だった。

ザッ、と音がして………れいくんを抱いた男が、病室の窓に立っていた。

「なぁに、悩んでんの。 看護師サン。」