泣きじゃくる君にキスを


後ろからしか抱き締めたことがない。

手を繋いだことすらない。

ましてやキスなんて。

家デートしかしたことない。

平日のメッセージは無視。

でも家には来てくれる。

そんな関係が、3ヶ月くらい続いていた。

それでも、来る度に菜央は泣いていた。


今日も来るんだ、菜央が。

また泣いてるのかな。

家に上がると、やっぱ泣いていた。


「おいで」


そんな俺の言葉は耳に入ってなくて、ベッドの前にペタンと座り込んだ。

菜央のいつもの定位置。

彼女の前にしゃがみこんで、


「好きだよ菜央」


と伝えてみた。

珍しく顔を上げた。

伝わったのか…!

そう思っていたら、怪訝な顔で、肩を押してきた。

当然俺は尻餅をつく。

菜央は、ベッドに寄りかかって体育座り。

怪訝な顔のまま。


3ヶ月、ずっとこれだ。

好きくらい受け止めてよ。

意地じゃない。

本当に好きなんだ。

俺の気持ちは伝わらない。