泣きじゃくる君にキスを


俺は菜央の手首を掴んで一旦家に入れた。


「何すんの!」


泣きながら、サンサンを強く抱き締めてそう言った。


「どうしたら分かってくれるの?俺の本当の気持ち。俺は何回も、大好きだよ、菜央しか見てないよって伝えてるじゃん。お願いだから分かってよ。ねえ、ただ都合のいい女にしたかったら、仕事帰りにサンサンのぬいぐるみ、必死こいて取ってくる?」

「…やりたきゃ、女になんでもするって聞いた。何時間でも電話するし、いくらでもデート付き合うって」


はあ…どこ情報だよ。

頭痛くなってきた。


「…どうしたら、ちゃんと彼氏として認めてくれんの」

「知らない」

「知らないじゃ困るよ…」

「自分で考えてよ!…っ、今日は帰る」


止められなかった。

バタンと閉まるドア。

虚しく部屋に響いた。


これ、付き合ってるって言えんのかな。

菜央は、男性に彼氏いるか聞かれて、何て答えてるんだろう。


でも不思議だ。

家には何故、来てくれるんだろう。

本当に嫌いなら、来ないはずなのに。

まあ、教えてはくれないか。