泣きじゃくる君にキスを


平日、LINEをしても、返信がないのがデフォ。

だけど、土日祝に家に来てと言えば、いいよと言ってくれる。

来ても俺の顔を見れば、すぐ泣きそうな顔をして、別れるって言って、何もしたくないと言って、帰るまでずっと泣いているけれど。


ある日、ゲーセンの前を通ると、サンサンの少し大きめなぬいぐるみのクレーンゲームを見つける。

菜央が物で釣れるなんて思ってない。

でも、少しでも喜ばせたかった。

何千円でも注ぎ込んでやる。

3000円超えた辺りで、やっとゲットした。

いい大人が必死こいてなにやってんだろ。

と思いつつ、好きな子のために、必死になって何が悪い?


次の土曜日。

相変わらず、泣きそうな顔でやってきた。

サンサンを持って俺は出迎えた。


「ほら、サンサンだよ」


サンサンの手を振ってみた。

手を伸ばして、手渡してみた。


「こないだゲーセンで見つけたから、取ってみた!」

「…うん」

「あげる!菜央、サンサン好きって言ってたから」


珍しく泣くことなく、サンサンを手に取った。

なんとなくだけど、笑みを浮かべてるように見えた。

サンサンを抱き締めて、そのまま帰ってしまった。


「ええ」


俺はサンダルを履いて追いかけた。