泣きじゃくる君にキスを


日曜日。

オートロックのチャイムが鳴る。

菜央だった。


「いらっしゃい」


ドアを開けた。

菜央はぐすぐす泣いていた。


「別れる」

「友達に言われたんでしょ。俺が遊び人だったって。俺は、菜央のこと大事だから、菜央がいいよって言うまで手出さないから。ね、別れるなんて言わないでよ」

「どうせ、そうやって言って保留にしてる女の子、他に何人もいるんでしょ」

「いないよ。今はもう、菜央しか見てない」

「嘘だ」

「嘘じゃない。ほら、おいで」


俺はしゃがんで手を広げた。

それでも菜央は泣いて泣いて、素通りして中に入ってきた。


「私とできないからって浮気もしてるんでしょ?」

「してないから、もう…安心して」

「別れる」

「嫌だ、俺の前からいなくならないで」


テーブルの前で、体育座りして、俺に背中を向けて丸くなっていた。

そんな菜央を後ろから抱き締めた。


「俺が、一生大事にする約束するからさ」

「触んないで!」


腕を振り回して、嫌がられた。


「ごめん」


俺は離れて、菜央の前に座った。

体勢はそのままで、顔を背けられた。