泣きじゃくる君にキスを


とある合コンに呼び出された俺は、端っこで居心地悪そうな女の子の隣に座り、声をかけた。


「俺、翔。君は?」

「…菜央」

「菜央ちゃんか、菜央って呼んでいい?」

「…うん」

「人数合わせで無理矢理連れてこられた感じ?」


菜央は頷いた。


「2人で抜け出しちゃう?」


気付いたらそんなことを言っていた。

アンニュイな雰囲気の菜央に、いつの間にか純粋な恋心を抱いていたみたいだ。

今までの俺なら、とっととホテル連れ込んで、そのままポイするような遊び人だった。

もう、人数なんて数えてない。

だけど、この子は、そういうことしたくないって言われたら手出ししないし、素直に、したいって言われるまで待てる気がした。


「抜け、出す」


菜央はそう言った。

俺はニコリと笑った。


「俺ら抜け出すわー」

「え、まじ!?」

「手早いなー翔は」


ホテルに連れて行くと思われていそうだが、カフェに連れて行く予定だ。

居酒屋を出ると、夜風が気持ち良かった。

思っていたより小柄な菜央が、とても可愛らしかった。


カフェに着いて、ソファ席に座らせる。

菜央はルイボスティーを頼んでいた。

俺はホットのミルクティーを頼んだ。


「いくら?」

「このくらい俺が出すっての」

「ありがとう」


謙虚なの可愛い。