波が静かに‥
まるであの日を懐かしむかのように、あの日の彼女と記憶を、連れてくる。


『‥もうダメなの?』


強がりで負けず嫌いで、絶対に弱音なんか吐かない‥そんな彼女が初めて目の前で涙を流した。


『やだ‥‥いゃ…一人に‥しないで‥‥っ』


肩にしがみ着きながら彼女は泣き続けた

一人にしないで、行かないで‥と、何回も何回も呟きながら。


『‥なんで…‥なんで何も話してくれないの‥?』


俺はそう訴える彼女に何も言えずに目を反らした


『‥‥も‥会えないの……‥?』


辛くて‥悔しくて唇を強く噛んだ

俺は目の前の大切な人、一人も幸せに出来なかった。



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