推しの声がメロすぎて困ってます

「きゃー!悠真ー!」

私はペンライトを強く握りしめ、画面に映る推しに届くことのない、黄色い声援を何度も叫び続ける。

尊い……!

気づくと涙が頬を伝っていた。

なんて幸せなんだろう。

こんなに幸せでいいんだろうか。

そう私が自分の世界に浸っているときだった。

ガチャッ。

勢いよく部屋のドアが開く。

私のこの楽園を唯一脅かす者……

「瑠奈うるさい!」

そう言って、強引に私の楽園へ土足で侵入してきたのはママだった。

そう。

彼女が唯一、私の楽園を脅かす魔女ーー。

「帰ってきたかと思ったら、すぐ部屋に行って!」

ああ、始まった。

「そうしたら、大音量の音楽と、あんたの悲鳴!」

「悲鳴じゃない!推しへの声援ーー」

「どっちでもいい!本当にうるさいんだから!」

私の言葉はあっさりと遮られる。

「あ!で、またこんなの買って」

ママは新しいDVDBOXを、呆れたように見つめる。

「はぁ……」

深いため息を吐きながら、ママは私の部屋を見回す。

「これじゃ友だちも彼氏も呼べないじゃない」

「そんなことない!」

「全く、どうしてこうなっちゃったのかしら」

まぁ、これは毎回恒例のやりとり。