推しの声がメロすぎて困ってます

「今日は充実した一日だったな〜」

私はパジャマに着替え、ベッドへダイブする。

「あ〜……尊い」

今日撮った写真をスマホで見返しながら、
小さく呟く。

自然と口元が緩んでしまう。

それから、コラボカフェで買った限定グッズを棚へ飾る。

「よし」

一つ増えるたびに、
私の部屋はもっと好きな空間になっていく。

でも、その反面――

「お金が……」

財布の中身を思い出して、現実へ引き戻された。

「バイト増やさないとなぁ……」

スマホでシフト表を開き、
来月のイベントやグッズ代を計算する。

「……はぁ」

思わずため息がこぼれた。

オタクを続けるのも、意外と大変だ。

でも。

推しがいるから頑張れる。

だから、やめたいなんて一度も思ったことはない。

「よし! 寝よう!」

私はイヤホンを耳につける。

寝る前に必ず聴くものがある。

シチュエーションCD。

物語の主人公になった気分で、
声優さんの演技を楽しめる音声作品だ。

恋人だったり、幼なじみだったり、執事だったり。

さまざまなシチュエーションで、まるで自分だけに話しかけてくれているような感覚になれる。

もちろん、私のお気に入りは――

橘悠真が出演している作品。

イヤホンから流れてくる優しい低音ボイス。

それだけで、一日の疲れがふっと消えていく。

「おやすみ」

たった一言なのに、胸がぎゅっと締めつけられる。

「……無理。好き」

私は布団の中で枕を抱きしめながら、
足をばたつかせる。

誰にも見せられない、いつもの一人反省会……
いや、一人悶絶タイム。

ひとしきり暴れたあと、私は推しの声に包まれながら、幸せな気持ちのまま眠りへ落ちていった。