推しの声がメロすぎて困ってます

でも今日は違う。

愛の力でどうにかなる。

……はず。

数分後。

「……」

取れる気配、ゼロ。

気づけば財布はどんどん軽くなり、
何枚百円玉を入れたのかもわからなくなっていた。

「まだやってるの〜?」

振り返ると、大きなぬいぐるみを抱えたゆあが立っていた。

「あれ? 瀬那と梨央奈は?」

「まだぬいぐるみと格闘中だよ〜」

ゆあは抱えていたぬいぐるみを、
ひょいっと高く持ち上げる。

「ゆあはもういいの?」

「こんな大きいの何個もいらないし」

そう言って笑うと、
私のクレーンゲームを覗き込んだ。

「それより、瑠奈が困ってそうだったから助けに来た」

「……っ!」

ま、眩しい。

今、ゆあの背中に羽が見えた気がする。

「いいの?」

「もちろん」

ゆあは迷わず百円玉を三枚投入した。

「えっ、三回で取る気!?」

「まぁ、楽勝っしょ〜」

そう言うと、クレーンを迷いなく操作する。

一回目。

二回目。

そして――

三回目。

ガタン。

レイのフィギュアが、景品口へ吸い込まれていく。

「えぇぇぇぇぇ!?」

私は思わず叫んでいた。

「ほ、本当に三回で取っちゃった!」

勢いよくゆあに抱きつく。

「こんなの朝飯前だよ〜」

照れくさそうに笑うゆあ。

……かっこいい。

ゆあをこんなに頼もしいと思ったのは、
正直初めてだった。

「ウチらはダメだった〜」

肩を落としながら戻ってきたのは、瀬那と梨央奈。

二人とも景品はゼロらしい。

「うわっ、取れてる」

瀬那が私の腕の中のフィギュアを見る。

「ゲッ。またレイ様だ」

「『また』じゃない!」

「はいはい」

三人は呆れたように笑った。

そのあと私たちは、
ゲームセンターのプリ機へ向かった。

“花のJK”らしく、全力で盛って、
全力でポーズを決める。

そして出来上がったプリクラを見て――

「……相変わらず別人」

私は苦笑する。

「これもう宇宙人じゃん」

その一言に、四人は顔を見合わせて大笑いした。