推しの声がメロすぎて困ってます

みんなは少し離れたクレーンゲームで、
大きなぬいぐるみを取ろうと必死になっていた。

その隙に、私はそっと輪を抜け出す。

「今だ……!」

向かう先はもちろん――

レイ様のフィギュア。

フィギュアコーナーへ駆け寄ると、
ケースの中にはラスト一個だけ残っていた。

「よかった……まだあった」

今日から投入されたばかりなのに、もう残り一個。

さすがレイ様。

人気キャラなのが、自分のことのように誇らしい。

……でも

「レイは人気でも、悠真まで好きって人は少ないのかな……」

ふと、そんなことを思ってしまう。

キャラクターが好きな人はたくさんいる。

でも私は、その声を演じている橘悠真だからこそ、
レイがもっと好きだった。

「よし!」

みんながぬいぐるみに夢中になっている今がチャンス。

私は袖をまくり、深呼吸する。

「本気でいくぜ!」

百円玉を五枚投入した。

ちなみに――

私はクレーンゲームが絶望的に下手である。