推しの声がメロすぎて困ってます

「撃沈……」

私は机に突っ伏したまま、
力なく窓の外を眺めていた。

「やっぱ徹夜はきついな……」

窓の外は、夕焼けに染まり始めている。

気づけば、もう放課後だった。

「瑠奈〜!」

教室の後ろから梨央奈が手を振る。

「みんなでゲーセン行くんだけど、一緒に行く?」

ゲーセン――

その一言を聞いた瞬間、
私の頭の中である情報がよみがえる。

今日から。

レイの新作フィギュアがクレーンゲームに登場する日だ。

「行くっ!!」

私は勢いよく立ち上がり、
そのまま梨央奈の肩をがしっと掴んだ。

「お、おぉ!?」

あまりの勢いに、梨央奈が目を丸くする。

「ちょ、近い近い!」

「ごめん!」

でも興奮は抑えられない。

「みんな待ってるから、早く行こ」

梨央奈は苦笑しながら私の腕を引っ張り、教室を出た。

ゲーセン。

ゲーセン。

ゲーセン。

頭の中は、その言葉でいっぱいだった。

もちろん、みんなでゲームをして騒ぐのも好き。

だけど。

クレーンゲームの前で景品の重心を見極め、何手先まで考えながら攻略する時間も、私は大好きだった。

「今日こそ、一発で取ってみせる……!」

私は誰にも聞こえないよう、小さくそう呟いた。