無理して笑わなくていい


そして試合には、思い切りよく勝った。


「皆おめでとー!」


無邪気につばさは喜んでくれた。

帰り際、なんとなく聞いてみた。


「あいつはいいの」

「ん?」

「親しげに話してた、相手チームの男」

「あー、ただの小中一緒だった、好きだった人だよ」


胸がじくんと傷んだ。

好きだった人、か。


「ただの…?」

「うん、ただの」


俺とは似たタイプのように見えたけど…。

チャンスがあると思っていいのか?


その後の試合は、負けてしまって優勝は逃してしまったけど、楽しく終われた。

ゆうて3位だ、まあまあ頑張った方。

つばさには優勝の景色を見せてあげたかったけどな。


大会も終わり、普通の練習に戻って。

ある日のこと。

授業ごとに教室が変わるため、移動している時、友達とわいわいしながら歩いていると、向こうからつばさが来る。

やほ、俺はそう言いかけた。

だけど、つばさはいつもの溌剌とした笑顔はどこにもなく、真っ直ぐ前を見て、イヤホンをして、俺のことなど目に入ってないようだった。

疲れてんのか…?


部活が始まる前。


「やほ、つばさ」

「諒弥、やほ」


いつもの笑顔だった。

一安心した。


「疲れてない?大丈夫?」

「ん?大丈夫だけど」


きょとんとした様子でそう答えてきた。