無理して笑わなくていい


「めっちゃ優秀そうな子キター!」

「ぶっちゃけ、仕事はできるけど他のマネージャ2人は、彼氏欲しさにやってそうだもんな」

「そこー、いないからって陰口言わなーい」


俺は単に、サッカー部のマネージャになるための、土台に過ぎなかったのか。

…なに、残念がってんだろ。


それから、せっせか仕事を覚えて、つばさは部員に信頼されるマネージャとなった。

俺は、なんとなく心のどこかにいつも、つばさがいた。

授業終わりに必ずじゃあねーって声をかけてくれるところ。

部活終わりに、真っ先に、おつかれ!と言ってくるところ。

俺の中のつばさは、いつだって明るく笑ってた。

屈託ない笑顔で、笑ってた。

それが、俺にだけ見せてくれればいいのにって、独占欲を少し掻き立てた。


ある部活の日。

俺は不注意で捻挫をした。


「いって…」


足を引きずりながら、端に行く。


「諒弥、捻挫とか珍しー」


神田が声をかけてきた。


「テーピングしてほしいんだけど」

「私やるよー」

「神田がやるとゆるくてすぐ取れる」

「ねー、そんなこと言わないでよー」


神田の猫撫で声が、俺はあまり好まなかった。

いかにもサッカー部員への媚び売りって感じが。