無理して笑わなくていい


「俺傍いるんで、着替えてきてください」

「あ、おう」


部長にそう伝えてつばさと2人きりになった。


「何があった?抱え込まなくていいよ」


そう問いかけるも、首を横に振るばかり。


「諒弥も着替えてきてよ」

「えっ、臭い?」

「1人にして」

「いや、泣いてる彼女ほっとけないでしょ…」

「ほっといて!」

「…分かったよ」


俺も更衣室に向かった。

部長が、


「飯能、何だった?」


と尋ねてきたが、俺は首を横に振った。


「ほっといてとしか…あ」


リュックを体育館に置いてきたことを忘れていた。

更衣室を1度出ると、這いつくばって自分のリュックに手を伸ばし、水筒と薬らしきものを手に取るつばさがいた。

こちらにはまだ気付いてない。

水を口に含んで、薬を飲みこんだ。


「つばさ…?」


名前を呼んで、やっと俺に気付いた。


「これ、違う、あれ、その」


近付いて薬の殻を半ば無理矢理手に取った。


「ねえやめて、諒弥」

「クエチアピン…」

「やだ、諒弥」


リュックのポケットからスマホを取り出して、調べてみた。


「脳内の神経伝達物質のバランスを整える非定型抗精神病薬…?」