宗介くんの支えになりたい。
そう決意したはいいけど、宗介くん本人はまだ話すつもりがないみたい。
ちゃんと整理できたら話してくれるって言われたし、わたしはいつ話されてもいいように準備をしておこう!
って言ってもなにすればいいかわからないから、いつも通りが一番だね。
交換日記は今のところ順調に進んでる。
なにか書いてほしいことあったら教えてって丸投げしたんだけど、その日にあったいいこととか、大変だったことを共有するのはどうかなって提案してくれて、例文まで書いてくれた。
ワカメがちょうど安売りになってて嬉しかった、とか靴ひもが切れちゃって大変だった、とか。
日常の小さな幸せとか苦労を共有しあうのって、仲のいい恋人同士みたいで楽しいな。
夏休みも終わりにさしかかってお盆明けからあった特別授業の日程も落ち着いてきたころ、二人でレジンのアンブレラマーカーを作ってみた。
手袋をしたり、窓を開けて換気をしたり。それからレジンをがついたティッシュは普通のゴミ箱じゃなくて蓋つきのゴミ箱に入れるとか、アレルギー予防の工夫が必要だったけど、調べながら二人で試行錯誤するのも楽しかったなぁ……。
作ったアンブレラマーカーはいつも使ってる傘と折りたたみ傘の両方につけた。
んへへ、かわいい……。
今年の宗介くんの誕生日プレゼントとかクリスマスプレゼントではおそろいのアクセサリーとか作ってみようかな。
今回二人で作るために道具はひと通り買い込んでるし、さっそく練習しよう!
部屋の入り口にサーキュレーターを置いて、窓を全開に。
指にぴたっとくっつく手袋をはめてと。
そのほかにも必要なものを用意して、まずは家族分を作ってみた。
リングが余ってたから、みんなの分もアンブレラマーカー。
お兄ちゃんはシンプル。丸い型にグリッターを少しだけ入れたクリアレジンを流しこんで、百均で買ってきた金色のアルファベットシールで“RIKUYA”と貼ってコーティングでぷっくりさせただけ。
お父さんとお母さんはどうしようかな。
型は同じ丸いの使って、色は……二人がよく選んでるのに合いそうなの使おう。
お母さんは落ち着いたアースカラーが多くて、お父さんはビビット系が多かったっけ。
じゃあお母さんは暗めの緑で、お父さんは鮮やかなピンクとかにしてみようかな。
お兄ちゃんと同じようにグリッターも入れて……。気泡を取ったら硬化。
お父さんの分はS、お母さんの分はYのシールを貼ってクリアレジンでぷっくり。
穴にリングを通したら完成!
作業した机と型はしっかりティッシュでふいて、蓋つきゴミ箱へ。
ポチ袋サイズの袋に入れてラッピングしたものを渡したらすごく喜んでもらえて、お兄ちゃんとお母さんは傘に、お父さんはキーチャームとして使ってくれた。
海外では一年間で何本か傘が行方不明になってるみたいで、外で絶対に手放すものにつけるのが怖いって。
お父さんはまた海外に戻っちゃうから、帰ってきたときにたくさんプレゼントできるようにコツコツ作っていこう。
そんな風に充実した夏休みを過ごしつつ、宿題も余裕を持って終わらせた。
そう、夏休み終了。
九月一日。
周りの学校よりも少し遅めの新学期がやってきた。
「久しぶり! 空ちゃん!」
「五日ぶりー」
教室入ってすぐに声をかけてくれたのは阿部さんと月乃さん。
「おはよう。阿部さん、月乃さん」
「あのね、今日職員室の前通ったときに聞いちゃったんだけど……」
阿部さんの笑顔が深くなった。
なにか楽しそうなこと盗み聞きしたのかな。
「明日の学級会、学園祭について話し合うらしいよ! 実行委員についても決めるんだって! 楽しみだねー!」
「実行委員は副委員長の茜じゃできないけどね」
「でも、空ちゃんとたまちゃんと一緒に学園祭について話せるの、すっごい楽しみにしてるんだ!」
「まあ、中学からは豪華になるって話だしね」
豪華……? 学園祭だよね? 文化部の展示会みたいなのじゃないってことかな?
そして翌日、配られたプリントに書いてあった去年までの出し物例を見て、わたしは目が飛び出そうになった。

