とらいあんぐる

私には二人の幼馴染みがいる。


いつもどこか無鉄砲で元気が取り柄の近藤(こんどう)大毅(だいき)


いつも冷静でしっかり者の土方(ひじかた)浩志(こうじ)


二人とは物心がつく頃から、近所にある剣道道場へと一緒に通っていた。


剣道では二人に負けたことはない。


とはいえ、それは厳密に言うと中学生までの話で、中学生になってからは男子と女子で区別され、二人と真剣な試合をすることが無くなったたので実際のところは分からない。


公式ではないところでは手合わせをするし、勿論そこでも負けたことはなかった。


でも、おそらく二人は私に対して本気で打ってこないからだということを、私は大とコウの中学最後の試合を見た時に気付いてしまった。


その時の悔しさは今でも忘れられない…


小学生の時には気にならなかったことが、中学生になって(わずら)わしくなる。


三人の幼馴染みの中で私だけが女であることが…


いっそ私は男として産まれたかった。


性格も大雑把で女の子らしさなど微塵(みじん)もないのだから…


私には兄が二人いて、更に昔から(だい)とコウと同じように男の子の遊びばかりしてきたのだから当然と言えば当然だ。


なのに今更、女の子である事実に打ちのめされるなんて思わなかった。


なんで私は女の子なの?


力じゃ二人には敵わなくなった。


手合わせの時だって、それを理解した上で機動力をフルに活かした剣道でなくては大やコウには通用しない。


…本当に悔しい。


最近は度々、私だけぽつんと置いて行かれた焦燥(しょうそう)感に駆られてしまう。


そして、最後には私は女だということを思い知らされるんだ。


だけど、私はそれを認めて女らしくは決してしない。


なぜなら、私が女の子をしてしまうと大とコウと今まで通りに接することが出来なくなる気がするんだ。


…それだけは絶対に嫌だ。


そして、私は今まで通りの私のままで、二人と一緒に地元にある新選(しんせん)高校に進学した。


何の不安も抱かずに…


これからだって、今まで通りに幼馴染みの三人でいられると私は信じて疑わない。


…だけど、三人の中で私だけが女だと気付いてしまったのは私だけではなかったことに後《のち》に思い知らされてしまう。