保健体育の時間が始まった

 保健体育の時間が始まった。
 熱血教師の男性が、熱く語っている。
「中学生になると、男子も女子も、思春期に入るぞー。恋人に、夢か私か、どちらが大事かなんて、きくんじゃないぞー」
 はあ、また、この先生は、セクハラ発言なのか。
 僕は何度目かの失望を経験すると、手をあげた。
 体育の先生の男が、僕を、不思議そうに見る。
 「ん?なんだ?天野(あまの)」
 僕は圧倒的な正解を叩きつけた。
 「そもそも、なぜ、その二択なんですか?そもそも、一番大事なのは、命です」
 体育教師が驚愕する。
 僕は、クラスメイトのみんなの方を見て言った。
 「もうすぐ夏休みだね。僕からの課題図書は、谷川俊太郎さんの「生きる」だ。君たちが、この体育の先生によるスクールハラスメントに、死にそうになっていることを僕は知っている。九月は、夏休み明けで自殺が最も多いから、学校に来ようが休もうが、君たちが、生き残ることを願っているよ。大丈夫。君たちは、ここまで、生きられた。だから、そんなに弱くない。成績だって、そう。一部地域で、僕たちはバカということにされているけれど、君たちは、一番、大切なものを守れるよ」