ただ、君に触れた夏

 彼の名前は一ノ瀬葵(いちのせあおい)。運動神経抜群、センス抜群、学力優秀、挙げ句の果てに超絶イケメン!いわゆる完璧だ。
「おい、あおいぃ!なんでお前また定期考査学年一位なんだなぁよぉ!やっぱ才能ある人は違うなぁ〜」
 近くにいた友達が話しかけている。
「ん?それ褒めてる?笑笑まぁ、ありがとう。」
 当たり障りのない会話に一見聞こえる。だが、私は気になるところがあった。
 彼の、目。まるで困ったような悲しいような辛さが目の奥に見えるのだ。
 そう、私は人の目の奥を見るとその裏に隠れている感情を読むことができる才能、があるのだ。そんな目がいとおしくて、切ないのだ。