「あの、大丈夫です──」
「大丈夫です。紅茶淹れてきますね」
「あっ、お構いなく……」
この話はお終い、そう言われた気がした。
木戸の向こうに行ってしまった店員さん───日向さん。
さっきの苦しそうな笑顔が目に焼きついて離れない。
日向さんのこと、私は何にもわからない。名前を知ったのだって今日だし、会ったのだってこれで3回目。
それでも、なんでかな。日向さんのこと知りたいと思った。
男の人にこんなこと思うの初めてで、どうしていいかわからない。
「日向 ようさん」
「どうした──どうしました?」
「えっ、いやなんでもないです。すみません……!」
ただ呟いてみただけだったのに、いつの間にか戻ってきた本人が聞いてるとか!
流石に恥ずかしすぎる……!
私が羞恥心で顔を赤くしていると、日向さんが肩を揺らして笑った。
「そんなに恥ずかしがんなくてもいいのにっ、ふっ。ふふ」
「笑うの我慢されるくらいならいっそちゃんと笑ってください!もう、恥ずかしいです……」
「ごめんごめん」
謝ってるけど、笑うの我慢してるのわかりますからね!?さっきまでの顔はなんだったのって思うほどの顔だもん。
なんで周りを確認してからにしなかったの私……!



