「座らないんですか?」
「あぁ、僕が正面に座っていたら居心地悪いかなと思ったので」
「いや、そんなことないですよ!店員さんと一緒に居て嫌がる女の子なんてほとんどいないです!」
「えっと……」
……ん?
思わず勢いで言っちゃったけど、私いま、とんでもないことを口走ったのでは?
待って、恥ずかしいこと言ったよね絶対!
『あのっ』
私と店員さんの声が重なって、気まずーい雰囲気が流れる。
こういうときってどっちから会話再開させるんだっけ。友だちだったら笑って終わりなのに──!
「…褒めてくださって嬉しかったので、ありがとうございます」
「こちらこそ……なんかごめんなさい。店員さんに急にいろいろ言っちゃって」
「全然大丈夫ですよ。紅茶、冷める前にどうぞ。アッサムなのでミルクティーにするのがおすすめですよ」
「じゃあそうしてみます」
店員さんが持ってきておいてくれた牛乳を入れてミルクティーに。
牛乳を入れても消えない甘くて芳醇な匂いが鼻腔をくすぐった。
カップを傾けてひとくち。
渋みがあるんだろうと思っていたけど、この紅茶はそんなことなくて───
「おいしい」
「よかった。茶葉から淹れるのってけっこう難しいんですよね。初めて茶葉から淹れてみたのが最近だったんですけど、思うようにいかなくて」
「紅茶が好きなんですね」
「……そうかもしれませんね」



