そのまま、私たちは焼き場に向かった。
最後のお別れ。
もう、2度と顔を見ることはない。
そう思うと、なぜかよしの顔を見れなかった。
待っている間、5人で一緒に食事を取る。
でも、みんななかなか喉を通らないのだろう。
お弁当が減らない。
そんな中、
「久しぶり。」
そんな風に声をかけてくれる、昔の友人達。
他愛もない話をして、また次の人が来る。
心から「久しぶり」と言いに来てくれたのは、何人だろう?
きっと大半は「別れた元カレの葬式に来てる、未練がましい女」の顔を見たいだけだろう。
「あの⋯」
次は、誰だ⋯
振り向いた先にいたのは
子どもの手を引いたよしの奥さんだった。
「あっ、この度は⋯」
みんなで立ち上がって頭を下げる。
「わざわざありがとうございます。あの⋯愛美さん⋯ですか?」
みんなで顔を見合わせる。
するとひでが
「うん、今回未紗が知らせてくれたんよ。ほんで、帰ってきたんよ。はじめましてじゃったよね?こちら、俺等の昔からの友達の愛美。」
ひでが私を紹介してくれた。
よしの元カノではなく、昔からのみんなの仲間という体で⋯
「あ、初めまして。よしのりさんには、昔から仲良うしてもらっとって⋯」
「そうなんですか。遠い所からありがとうございます。あの⋯少しお話出来ませんか?」
心臓が大きくドクンと鳴った。
「あ、ええですよ。」
少し離れた席に腰を降ろして、コーヒーを2つ頼んだ。
「改めまして、よしひろの妻のかなです。愛美さんの事は聞いとります。元カノさんですよね?」
「はぁ⋯まぁ⋯一応⋯」
後ろめたさからか歯切れの悪い返事しか出来なかった。
「あ、責めてるわけじゃないんです。ただ、愛美さんのことは死んだ主人から一度だけ話を聞いた事があったんです。その時の主人の顔は幸せそうじゃったけ、話をしてみたくて。昔の主人は、どんな人だったんですか?」
昔のよしは⋯
そんな事、言えるわけない。
「私も、あの後しばらくして引っ越したりしてバタバタじゃったけん、あの頃の事は、私もあんまり覚えとらんくて⋯すみません。ほいでも、かなさんと過ごした毎日が、よしのりさんは幸せじゃったんじゃないかと思います。」
そう伝えると、かなさんは肩を震わせながら静かに泣いていた。
そうとしか言えなかった。
間違ってはないと思う。
きっと、幸せだった。
だから、遺影のよしはあんなにも優しく笑っいるんだ。
